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義足の製作プロセスの革新

通常の義足の製作は、義肢装具士と呼ばれる職人によって、切断者一人一人に対してのオーダーメードで行われます。切断部分(断端)の身体形状を、石膏等を用いて物理的に複製・整形し、それをもとに義足を手作業で製作します。

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一方、本プロジェクトでは、まず断端の3Dデジタルスキャンにより形状データを作成します。次に、「設計力の向上」テーマで研究開発を行っている、人工物形状と自然物形状の両者をフィットさせるAM向けCADを使用し、形状修正およびデザインCADデータとの合体を行った後、AM造形機を用いた出力を行います。以上のように、デジタルツールを活用した新しい義足製作プロセスを研究しています。

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AMの特性を活かした構造

既存のスポーツ用義足は炭素繊維やチタン等の高強度部材で造られています。これに対してAM義足“Rami”では、一定の強度をもつナイロン樹脂粉末のレーザー焼結方式積層造形を用います。この方式は、様々な「3Dプリンティング」手法の中でも最も精度と品質に優れたものですが、現状ではナイロンしか実用化されていないため、実際の陸上競技で使用可能とするためには、構造的な工夫でカーボンやチタンに匹敵する強度を実現する必要があります。

このプロジェクトでは、骨組織の内部構造のように、空間的に自由に部材を配置することで、構造全体が分散して荷重を受け持ち、必要十分な強度と軽量化を達成することを目指しています。

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構造最適化と設計支援

美しさと合理性を両立するために、コンピュータによる構造最適化の設計支援も研究の一環として進めています。

内骨格を持つ生物の骨組織においては、骨芽細胞と破骨細胞による骨再構築作用により、生物の成長とともに強度が必要な部分は骨組織のネットワーク構造の密度が増し、そうでない部分は密度が下がるという構造最適化が行われています。

現状は、使用状況に応じて構造が変化し、最適化していくような人工物はまだ実現できていないのですが、コンピュータ・シミュレーションの力を借りて、最適化された美しい構造を人が設計することを目指しています。

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